あなたが選ぶ鞄、財布、靴、ランドセルなどの革製品の中でも、牛革はその高級感と耐久性からとても人気があります。
中でも耐久性や寿命を気にされる方にとって、牛革ができるまでの過程を理解することは重要なのではないでしょうか。
本記事では、牛革ができるまでの工程を詳しくご紹介し、鞄、財布、靴、ランドセルなどさまざまな製品における牛革の耐久性や寿命についても解説します。
お子さまのランドセル選びや革製品の選定に役立てていただければ幸いです。
「皮」と「革」の違いはご存知ですか?
はじめに、「皮」と「革」の違いについてお話しします。
どちらも「かわ」と読みますが、漢字が異なるだけでなく、その意味も大きく異なります。
「皮」
牛から採取した皮を指します。
水分や脂肪を多く含み、そのままでは腐敗しやすく、硬くて扱いにくい状態です。
「革」
生皮を加工し、腐敗しにくく柔軟性や耐久性を持たせたものです。
製品として使用できる素材に生まれ変わっています。
この違いは、革製品の品質や特性に大きく影響します。
原皮を「なめし」などの加工を施して「革」にすることで、初めて鞄や財布、靴、ランドセルなどの製品に使えるようになるのです。
長い時間をかけて職人の手でつくられる牛革
牛革が製品として完成するまでには、多くの工程と時間が必要です。
その一つ一つの工程には、職人たちの熟練した技術と情熱が込められています。
ここでは、牛革ができるまでの主な4つの工程をご紹介します。
① 原皮の採取
牛革づくりの始まりは、原皮の採取からです。
食肉用の牛から皮を採取する
牛革の原皮は、主に食肉として使用された牛から採取されます。
肉牛としての役割を終えた後、その皮を無駄にせず有効活用するため、自然への負荷も少ない環境にやさしい素材となっています。
採取された原皮は、腐敗を防ぐために塩漬けや冷凍保存が施されます。
良質な革をつくるため牛に最高の環境を
良質な革を生み出すためには、牛が健康であることが不可欠です。
傷や病気のない健康な牛の皮は、なめし加工後も美しい革となります。
そのため、牧場では牛たちがストレスなく過ごせるよう、広々とした環境や栄養バランスのとれた飼料、衛生的な飼育環境が整えられています。
② なめし加工
原皮が準備された後は、「なめし加工」というとても重要な工程に入ります。
ドラムを使ったなめし加工
なめし加工とは、皮を腐敗しにくくし、柔軟性や耐久性を持たせるための化学的な処理です。
大きなドラム(回転式の樽)に原皮と水、なめし剤を入れ、回転させながらなめし剤を皮に浸透させます。
なめし剤には、植物由来のタンニンやクロムなどが使用されます。
使用されるなめし剤によっても質感が変わります。
場合によっては再なめし加工も行う
一度のなめし加工だけでは、求める特性が得られない場合があります。
そのため、再度なめし加工を行い、柔軟性や耐久性、色の定着性などを調整します。
職人たちは長年の経験と技術を活かし、最適ななめし方法を選択します。
③ 染色
なめし加工が完了した革は、次に「染色」の工程に進みます。
ドラムを使った染色加工
染色もなめしと同様にドラムを使って行われます。
染料や薬品を加えたドラムに革を入れ、回転させながら染料を均一に浸透させます。
これにより、革全体に美しい色が染み込みます。
職人達による見事な染色
染色は色を付けるだけでなく、革の風合いや質感を引き出す重要な工程です。
職人たちは染料の種類や配合、染色時間、温度管理など細部にまでこだわり、美しい仕上がりを追い求めます。
季節や湿度によっても染まり具合が変わるため、繊細な調整が必要です。
④ 仕上げ
最後の工程は、革を製品として使用できる状態に仕上げることです。
仕上げ準備
染色が終わった革は一度乾燥させ、革の厚みを均一にするために「漉き(すき)」という作業を行います。
これにより、製品加工がしやすくなり、仕上がりも美しくなります。
職人たちが用途ごとにさまざまな加工で仕上げる
仕上げの工程では、革の用途や求められる特性に応じてさまざまな加工が施されます。
- 艶出し(グレージング)革の表面を磨き、光沢を出します。
- 型押し革の表面に模様をつけ、デザイン性を高めます。
- オイル加工革にオイルを染み込ませ、柔軟性や耐久性を向上させます。
- 防水・撥水加工水や汚れに強くするためのコーティングを施します。
これらの加工を職人たちが一つ一つ丁寧に行い、革の持つ魅力を最大限に引き出します。
牛革製品は高価でつくられるまでに時間がかかる
牛革が製品として完成するまでには、多くの時間と手間、そして、職人たちの熟練した技術が必要です。
そのため、牛革製品は高価になる傾向があります。
しかし、その価値は職人たちのかけた技術と時間を考えれば価格以上の価値があると言えるでしょう。
お子さまのランドセルも、牛革を選ぶことで6年間しっかりとお使いいただけるだけでなく、成長とともに深みのある風合いを楽しむことができます。
また、鞄や財布、靴などの牛革製品も、時間とともに味わいが増し、使うほどに愛着が湧いてきます。
まとめ
牛革ができるまでの工程を詳しくご紹介しました。
原皮の採取からなめし、染色、仕上げまで、職人たちの技術と情熱が詰まっています。
これらの工程を経てつくられた牛革製品は、高品質で長く愛用できるものばかりです。
職人たちが手間ひまをかけて丹念になめした革からできる鞄、財布、靴、ランドセルなどは、お手入れをすることで使い込むほどに味わいが増し、皆さまにとって大切な思い出を刻む一生もののアイテムとなります。
ランドセル選びでも素材にぜひ注目してみてください。
牛革のランドセルは、お子さまの新しい生活を力強くサポートしてくれることでしょう。
ご家族の皆さまが納得のいく一品を見つけられるよう、本記事がお役に立てれば幸いです。