こんにちは。
まだ少し先のことですが、お子さまの小学校ご入学、おめでとうございます。
ランドセル選び、真っ最中でしょうか?
それとも、もうお気に入りのひとつが決まった頃でしょうか?
色やデザイン、背負い心地…ご家族みんなで悩んで選んだランドセルは、きっと宝物になると思います。
ランドセルを選んでいると、「この刺繍、もっとこうだったらな」「ここのキラキラした鋲(びょう)、他のデザインに変えられたらもっとうちの子好みなんだけど…」など、ちょっとした「加工」について考えたりしませんか?
あるいは、「6年間使ううちに、もし壊れたらどうしよう?ちゃんと直せるのかな?」など、使う上での不安を感じることもあるかもしれません。
そして、小学校を卒業した後には、「この思い出いっぱいのランドセル、何か素敵な形で残せないかな?」…そんな風に考えるご家族も増えています。

ランドセル選びのワクワクと、6年間使うことへの少しの不安、そして卒業後のこと…色々な想いが巡りますよね。
私たちランドセルメーカーのスタッフは、そんなご家族の皆さまのさまざまな想いに日々触れています。
「ランドセルの加工」と一言で言っても、実はいろいろな種類があります。
今日は、ランドセルに携わる私だからこそお伝えできる、「ランドセルの加工」に関するアレコレ、皆さまが気になるポイントや、知っておくと安心な情報を、わかりやすく、そして心を込めてお話しさせていただきます。
そもそも「ランドセルの加工」って?スタッフがわかりやすく解説します


まず、「ランドセルの加工」って聞くと、具体的にどんなことをイメージされますか?
実は、大きく分けて3つです。
リメイク加工
こちらが「加工」と言われて最もみなさんが想像するサービスです。
これは主に、小学校を卒業して使わなくなったランドセルを、別の製品に作り変える加工のこと。
財布やキーホルダー、ミニランドセルなどが人気です。
思い出を形に残す、素敵な加工です。
修理加工
これは、ランドセルを使っている間に壊れてしまった部分を直す加工。
肩ベルトが切れかかったり、錠前が壊れたり…6年間使っていれば、そんなアクシデントも時にはあります。
安心して使い続けるための、大切な加工ですね。
単に「ランドセルの修理」と呼ばれますが、「修理加工」と考える方もいらっしゃいます。
カスタマイズ加工
これは、購入したランドセルに、お子さまだけのオリジナリティを加える加工のこと。
名前の刺繍を入れたり、鋲を交換したり、デコレーションパーツを付けたり。
入学前から楽しめる加工です。
どうでしょう?
なんとなくイメージできましたか?
「加工」と一括りにされがちですが、目的やタイミングがそれぞれ違います。
この記事では、この3つの「ランドセル加工」について、もう少し詳しくご説明します。



なるほど!「加工」にも色々な種類があるんですね。それぞれ詳しく見ていきましょう。
思い出を新たな形に!卒業後の楽しみ「ランドセルのリメイク加工」


6年間、雨の日も風の日も、お子さまと一緒に学校へ通ったランドセル。
たくさんの思い出が詰まっていて、卒業してもなかなか手放せない…というご家族は本当に多いです。
そんな大切なランドセルを、ただ保管しておくだけでなく、これからも身近に感じられるアイテムへと生まれ変わらせるのが「リメイク加工」です。
本当にいろいろあるのですが、その中から人気のものをご紹介します。
お財布やコインケース
毎日使うものだから、ふとした瞬間に小学校時代を思い出せるかもしれません。
キーホルダー、パスケース
ランドセルのかぶせ(フタの部分)のデザインや、お子さまが好きだった刺繍を活かしてつくるのも、素敵だと思います。
ミニランドセル(ミニチュアランドセル)
手のひらサイズの小さなランドセルは、卒業記念の素敵なインテリアになります。
当時の姿そのままに、ぎゅっと凝縮された感じがたまりません。
印鑑ケース、ペンケース、名刺入れ
大人が使える実用的なアイテムにリメイクするのも人気です。
お子さまが大きくなった時にプレゼントするのも素敵ですね。
これらはほんの一例。
アイデア次第で、もっといろいろなものがつくれます。
どこにお願いすれば良いの?と考えた方も多いと思います。
まずは、購入したメーカーがリメイクサービスを行っていないかを確認してみましょう。
中〜高価格帯のメーカーであれば、リメイクサービスも提供している場合が多いです。
黒川鞄工房でも購入いただいたお客様向けにリメイクサービスを行っています。
他にも最近は、ランドセルのリメイクを専門にしている工房さんや、革製品のオーダーメイドを受けているお店がたくさんあります。
インターネットで「ランドセル リメイク」と検索すると、きっと素敵な工房が見つかるはずです。



黒川鞄工房でもリメイクを承っております!お気軽にご相談くださいね。
工房を選ぶときは、いくつかポイントがあります。
どんな作品をつくっているか
ホームページなどで、過去の作例(写真)をたくさん見てみましょう。
仕上がりの丁寧さやデザインのセンスが、ご自身のイメージと合うかどうかが大切です。
料金はわかりやすいか
何をいくつつくるといくらになるのか、追加料金は発生しないかなど、料金体系がはっきりしているか確認しましょう。
納期はどれくらいか
特に卒業シーズンは注文が集中して、完成までに数ヶ月かかることもあります。
早めに確認しておくと安心です。
職人さんの想い
可能であれば、どんな想いでリメイクに取り組んでいるのか、工房のストーリーなどを読んでみるのも良いかもしれません。
大切なランドセルを託すわけですから、信頼できると感じる職人さんにお願いしたいですよね。
また、ランドセルメーカーのスタッフとして少しだけ付け加えると、素材によってリメイクのしやすさには少し差があります。
やはり、しっかりした厚みのある牛革やコードバン(馬のお尻の革です)は、丈夫で加工もしやすいので、小物づくりに向いています。
クラリーノ®Fなどの人工皮革も、もちろんリメイクできます。
ただ、低価格帯の人工皮革の場合は、本革に比べると、少し加工の自由度が下がったり、経年劣化の状態によっては難しい部分があったりすることも…。
腕の良い職人さんなら、使える部分を最大限に活かして、素敵な作品に仕上げてくれるかもしれません。
まずは気軽に相談してみるのが一番です。
「この傷も思い出だから、見えるように使ってほしい」といったお願いも、もしかしたら聞いてもらえるかもしれません。
6年間安心のために。知っておきたい「ランドセルの修理加工」


さて、次は使っている間の「もしも」に備える、「修理加工」のお話です。
いくら丈夫につくられているランドセルでも、6年間毎日使うとなると、どうしても傷んだり、時には壊れてしまったりすることもあります。
特に壊れやすいというか、負担がかかりやすいのは、
肩ベルトの付け根
一番力がかかるところです。
錠前(ロックする部分)
開け閉めが多いですし、うっかりぶつけたりすることも。
持ち手
あると便利ですが、付け根が傷むこともあります。
ナスカン(給食袋などを引っ掛けるフック)
強い力がかかると、安全のために外れるように設計されているものもありますが、壊れてしまうことも。



毎日使うものだからこそ、負担がかかりやすい部分はどうしても出てきますよね。
もし、こんなところが壊れてしまったら、「どうしよう」と焦ることになると思います。
でも、安心してください。
ほとんどの場合、修理することができます。
じゃあ、どこに修理をお願いすれば良いのか?
まずは、ランドセルを購入したお店やメーカー、工房に相談するのが一番です。
多くのメーカーさんや工房では、自社製品の修理を受け付けています。
特に、入学から6年間の保証が付いている場合が多いので、保証期間内であれば無償、あるいは割安で修理してもらえる可能性があります。
(保証内容はメーカーさんによって違うので、購入時にしっかり確認しておきましょう)
保証期間が過ぎていたり、保証対象外の破損だったりする場合でも、有償で修理してくれるところがほとんどです。
費用は、壊れた箇所や状態によってさまざまですが、数千円から数万円以上かかることもあります。
正直なところ、ランドセルの構造や使われている部品によっては、修理が難しい、あるいは新品を買うのと同じくらい費用がかかってしまう…なんてケースもあります。
その多くの場合が分解して部品の交換となるケースです。
黒川鞄工房の職人も、お子さまが最後まで気持ちよくランドセルを使えるように、修理には心を込めて対応しています。
「このくらい大丈夫かな?」と思っても、安全に関わる部分(特に肩ベルト)の不具合は、早めに相談してくださいね。



万が一の時も、まずは購入元にご相談いただくのが安心ですね。黒川鞄工房も責任をもって対応させていただきます。
我が子だけの特別感をプラス!入学前からできる「ランドセルカスタマイズ加工」


最後は、入学前からワクワクできる「カスタマイズ加工」についてです。
「みんなと同じじゃつまらない!」「うちの子だけの特別なランドセルにしてあげたい!」そんな風に考えるご家族もいらっしゃいますよね。
黒川鞄工房では伝統的なランドセルがコンセプトですから、カスタマイズは行っていませんが、昨今では好みに応じてカスタマイズができるメーカーも増えてきているように思います。
カスタマイズには、いろいろな方法があります。
ネーム刺繍
かぶせの裏側や前ポケットなどに、お子さまの名前やイニシャルを入れる。
これは特別感が出ますね。
購入時にオプションで選べるメーカーさんや工房も多いです。
鋲(びょう)の交換
かぶせについている金具(鋲)を、ハートや星、お花など、好きなデザインのものに交換する。
これも人気のカスタマイズです。
自分で交換できる鋲を販売しているお店も。
デコレーション
市販されているランドセルカバーに、ワッペンやリボンを付けたり、反射材シールを貼ったり。
これは手軽にできて、飽きたら変えられるのが良いところ。
交通安全にも繋がります。
こんな風に、ちょっとした工夫でお子さまのテンションが上がって、ランドセルへの愛着がぐっと増すなら、素敵なことですよね。
ただ、ここで一つ、注意してほしいことがあります。
メーカーさんや工房によっては、購入後にご自身で手を加えた(例えば、鋲を交換したり、穴を開けたりした)場合、それが原因で故障が起きても保証の対象外となる可能性があります。
刺繍なども、後から入れる場合は、どこに依頼するか、どんな影響があるか、少し慎重に考えた方が良いかもしれません。
カスタマイズを楽しむのは良いことですが、特に構造に関わるような加工をする場合は、一度メーカーさんや購入店に確認してみることをおすすめめします。
やりすぎは禁物、でも、ルールを守って上手に個性を出すのも楽しみの一つかもしれません。



カスタマイズは楽しいですが、保証に関わることもあるんですね。念のため確認すると安心です。
【ランドセルメーカースタッフのホンネ】ランドセル加工で大切にしてほしいこと


リメイク、修理、カスタマイズ…いろいろな「ランドセル加工」についてお話ししてきましたが、どの加工を考えるにしても、私たちスタッフがご家族の皆さまに大切にしてほしいと思うことがあります。
それは、ランドセルへの「愛情」と「感謝」の気持ちです。
リメイクするなら、ただの材料としてではなく、6年間の思い出が詰まった宝物として、大切に扱ってくれる工房を選んでほしい。
修理するなら、「直してくれてありがとう」という気持ちで、これからも大事に使ってあげてほしい。
カスタマイズするなら、お子さまが本当に喜ぶか、長く愛せるかを考えて、そして元々のランドセルの良さも尊重してあげてほしいと思います。
時々、すごく凝った装飾を後から付けすぎて、ランドセル本来の機能が損なわれているのを見たりすると、悲しい気持ちになることもあります。
もちろん、ご家族の自由ではあります。
でも、私たちは、お子さまが6年間安全に、快適に使えるように、素材選びから設計、縫製まで、本当に心を込めてつくっているので、その良さを最大限活かして欲しいという気持ちもあります。
ただ最終的には、お子さまが笑顔でランドセルを背負ってくれるのが一番。
そのための加工なら、どんな形であれ素晴らしいと、私は思います。



ランドセルへの愛情、本当に大切ですよね。私たちも心を込めて作っていますので、長く大切に使っていただけると嬉しいです。
まとめ:ランドセルとの素敵な思い出づくりをお手伝い


「ランドセル加工」は、単に形を変えたり直したりするだけでなく、ランドセルとの関わり方をより深く、より豊かにしてくれる素敵な選択肢です。
卒業後に「リメイク加工」で思い出を新しい形に変えれば、ランドセルはこれからもご家族のそばで輝き続けます。
「修理加工」でしっかりメンテナンスすれば、6年間、いえ、もしかしたらそれ以上、安心して大切に使い続けることができます。
「カスタマイズ加工」でちょっとした個性を加えれば、ランドセルはもっともっと特別な、お子さまだけの「相棒」になるでしょう。
この記事を読んで、「なるほど、そんな方法もあるんだ!」「うちの子のランドセルも、こうしてみようかな?」なんて、少しでもワクワクしたり、安心したりしていただけたら、ランドセルメーカーのスタッフとしてこんなにうれしいことはありません。
どの加工を選ぶにしても、ぜひご家族でよく話し合って、お子さまの気持ちも大切にしながら、皆さんにとって一番良い方法を見つけてくださいね。
ランドセルとの出会いから卒業、そしてその後まで、ご家族の皆さまの素敵な思い出づくりを、心から応援しています。



ランドセルに関する様々な選択肢を知って、より豊かな6年間、そしてその後も素敵な時間を過ごしてくださいね!