「ピカピカのランドセルって、一体どうやって作られているんだろう?」
「あのしっかりした形、毎日使ってもへこたれない丈夫さには、どんな秘密が隠されているのかな?」
お子さまが6年間、毎日一緒に過ごすランドセル。
お店に並んでいる完成された姿からは想像もつかないかもしれませんが、その一つひとつには、たくさんの時間と手間、そして何よりも職人さんたちの熱い想いと確かな技術が、ぎゅっと詰まっているんです。
私たち黒川鞄も、創業以来ずっと、熟練した職人の手仕事によるランドセル作りにこだわり、その伝統と技を大切に受け継いできました。
この記事では、普段はなかなかベールに包まれているランドセルの「作り方」の裏側を、皆さんと一緒にこっそりのぞき見してみたいと思います!
上質な革が選ばれる瞬間から、様々なパーツが組み合わさり、一つのランドセルとして命が吹き込まれるまで。
そこには、驚きと感動がたくさん詰まっていますよ。
これを読めば、お子さまのランドセルが、ますます愛おしく、そして頼もしく見えてくること間違いなしです!

ランドセルの製造工程って、実は奥が深いんです。職人のこだわりを感じていただけると嬉しいです!
ランドセル作りの第一歩!すべてはここから始まる「素材選びと革の裁断」


どんな立派な建物も、しっかりとした土台から始まるように、素晴らしいランドセル作りも、まずは最高の素材を選ぶことからスタートします。
そして、その素材に最初の命を吹き込むのが「裁断」という工程です。
どんな革が使われるの?ランドセルになるための厳しい目利き
ランドセルの顔とも言える「かぶせ」や、毎日体に触れる肩ベルト。
これらの大切なパーツに使われる革は、それはもう厳しい目で選び抜かれます。
例えば、私たち黒川鞄のような工房では、牛革やコードバン(馬のお尻の革で、とっても希少なんです!)といった天然皮革を主に使用しますが、一枚一枚の革を職人さんがじっくりと見極めます。
「この革には、目立たないけど小さなキズがあるな…」
「この部分は、革の厚みが均一で、ランドセルに使うのにピッタリだ!」
なんて、革と対話するように、その質や状態を細かくチェックしていくんです。
色合いやツヤはもちろん、強度やしなやかさも大切なポイント。
お子さまが6年間安心して使えるように、ここで妥協は一切ありません。
まさに、職人の「目利き」が光る瞬間ですね。
一枚の革からパーツを切り出す!職人技が光る「革の裁断」ってどんな風にやるの?
選び抜かれた極上の一枚革。
次はいよいよ、この革からランドセルの各パーツを切り出していく「裁断」の工程です。
大きな革を無駄なく、そして正確に切り出すのは、まさに職人技!
大きな専用の抜き型(クッキーの型抜きみたいなイメージです)を使い、専用の機械で力を込めて革をプレスしてパーツを抜いていく方法もあれば、特に曲線部分や細かいパーツなどは、熟練した職人さんが「革包丁」と呼ばれる特別な刃物を使って、フリーハンドでスッスッと切り出していくこともあります。
この時、革のどの部分をどのパーツに使うか、というのもすごく重要なんです。
革には、動物が生きていた時のシワや血管の跡(これを「血筋」と言ったりします)が残っていることもあります。
そういった部分を避けながら、できるだけ美しい部分を表面に出るパーツに使い、強度が必要な部分には革のしっかりした部分を使う。
そんな、長年の経験で培われた知識と判断力が、ここでも活かされているんですよ。



革の選定と裁断は、ランドセルの品質を左右する非常に重要な工程です。職人の真剣な眼差しが目に浮かびますね。
熟練の技が光る!ランドセルの主要パーツが形になるまで
裁断された革のパーツは、ここからさらに様々な加工を施され、ランドセルの「顔」となるかぶせや、体を支える背あて、肩ベルトといった主要な部品へと姿を変えていきます。
ここでも、職人さんたちの細やかな手仕事が光ります。
ランドセルの顔「かぶせ」はこうして作られる!
ランドセルの一番目立つ部分であり、雨や汚れから中身を守る大切な「かぶせ」。
このかぶせ一枚にも、たくさんの工夫が詰まっています。
表面の革だけでなく、裏側にも革や人工皮革を貼り合わせたり、型崩れを防ぐための芯材を入れたり。
そして、縁の部分は「コバ塗り」といって、何度も丁寧に塗料を塗り重ねて美しく仕上げます。
このコバ塗りの美しさが、ランドセルの品格を左右するとも言われるんですよ。
時間割を入れる透明なポケットを取り付けたり、反射材を縫い付けたりするのも、この段階です。
たくさんの教科書を支える「背あて」と「肩ベルト」作りのこだわり
お子さまの体に直接触れる「背あて」と「肩ベルト」は、背負い心地を大きく左右する、とっても重要なパーツです。
背あてには、通気性が良くて蒸れにくい素材を選んだり、背中のカーブに合わせて体にフィットするような立体的な形にしたり。
肩ベルトも、クッション材の入れ方やカーブの付け方、そして体に優しく沿うように、取り付け部分にも特別な工夫が凝らされています。
「どうしたら、子どもたちがもっと楽に、もっと気持ちよくランドセルを背負えるだろう?」
そんな職人さんたちの愛情が、ここにもたっぷり詰まっているのを感じますね。
小さな部品にも大きな役割!ランドセルを構成するパーツたちとその名前
ランドセルって、実はものすごくたくさんの部品から出来上がっているんです。
その数は、なんと100を超えるとも言われています!
かぶせを開け閉めする「錠前(じょうまえ)」、肩ベルトの長さを調節する「美錠(びじょう)」、側面についていて給食袋などをぶら下げる「ナスカン」や「Dカン」。
一つひとつは小さな部品かもしれませんが、どれもランドセルの機能性や安全性を高めるために、なくてはならない大切な役割を担っています。
これらのパーツも、丈夫で錆びにくい素材が選ばれ、しっかりと取り付けられていきます。



かぶせや背あて、そして小さな金具一つひとつに、職人のこだわりと技術が込められています。まさに芸術品ですね!
職人の手仕事の見せどころ!「手縫い」と「ミシン縫い」それぞれの良さって?


パーツの準備ができたら、次はいよいよそれらを縫い合わせる工程です。
ランドセルの縫製には、主に「手縫い」と「ミシン縫い」があり、それぞれに良さがあるんですよ。
一針一針に心を込めて 伝統的な「手縫い」の温かさと丈夫さ
「手縫い」は、その名の通り、職人さんが太い糸と針を使って、一針一針、文字通り手で縫い上げていく伝統的な技法です。
時間がかかり、熟練した技術が必要ですが、手縫いの魅力はなんといってもその丈夫さ。
糸が一本切れても、そこからほつれにくいという特徴があります。
そして、手作業ならではの温かみのある風合いや、糸目の美しさも魅力ですよね。
私たち黒川鞄のランドセルも、特に負担がかかりやすい部分や、デザインのポイントとなる部分には、この伝統的な手縫いの技法を大切に取り入れています。
精密でスピーディー!「ミシン縫い」が生み出す美しい仕上がり
一方、「ミシン縫い」は、専用の工業用ミシンを使って縫い合わせていく方法です。
手縫いに比べてスピーディーに、そして均一でまっすぐな美しい縫い目を実現できるのが特徴です。
最近のミシンは性能も非常に高く、太い糸でもしっかりと縫い上げることができます。
パーツによっては、ミシン縫いの方が適している場合もあり、それぞれの特性を活かして使い分けられています。
どちらが良いということではなく、作るランドセルのデザインや、求められる強度、生産効率などを考えて、最適な方法が選ばれているんですね。



手縫いとミシン縫い、それぞれの良さを活かして最高のランドセルを作り上げています。黒川鞄も手縫いの技術を大切にしていますよ。
いよいよクライマックス!ランドセルがだんだん「カバンの形」になっていく「組み立て」工程


さあ、いよいよランドセル作りのクライマックス!
ここまで丁寧に作られてきた様々なパーツたちが、職人さんの手によって一つひとつ組み合わされ、だんだんと私たちがよく知る「ランドセルの形」になっていきます。
この「組み立て」の工程は、まるで魔法を見ているようです。
パーツが組み合わさって立体的に!魔法のような組み立て作業とは?
平面的だった革のパーツが、曲げられたり、折り畳まれたり、そして縫い合わされたりしながら、少しずつ立体的な箱型へと姿を変えていきます。
ランドセルの本体となる「大マチ」と「背あて」を縫い合わせ、そこに「前段ポケット」や「かぶせ」が取り付けられていく…。
言葉で言うのは簡単ですが、それぞれのパーツを歪みなく、正確な位置に、そして頑丈に組み上げていくのは、まさに熟練の技が必要です。
接着剤を使ったり、仮止めをしたり、そして最後にしっかりと縫い合わせたりと、見えない部分にもたくさんの手間がかけられています。
ランドセルの形を保つ「芯材」の役割と取り付けの工夫
ランドセルが6年間しっかりとその形を保ち、教科書やノートをきちんと守れるのは、内部に入れられている「芯材(しんざい)」のおかげ。
この芯材も、軽くて丈夫な特殊な素材が使われています。
この芯材を、革のパーツの間に挟み込んだり、内側から貼り付けたりするのも、組み立ての大切な工程の一つ。
芯材がずれたり、歪んだりしないように、細心の注意を払いながら作業が進められます。
この見えない部分の丁寧な仕事が、ランドセルの耐久性を支えているんですね。
これが丈夫さの秘密!見えないところに隠されたランドセル作りのこだわり


「どうしてランドセルって、あんなに丈夫なんだろう?」
その秘密は、実は目に見えない細やかな工夫の積み重ねにあるんです。
「壊れにくいランドセル」はどうやって生まれるの?補強の工夫あれこれ
毎日たくさんの荷物を入れて、時には少し乱暴に扱われてしまうこともあるランドセル。
それでも6年間しっかりと使えるように、壊れやすい部分や負担がかかりやすい部分には、特別な補強が施されています。
例えば、肩ベルトの付け根の部分。
ここはランドセルの中で最も力がかかる場所の一つなので、太い糸で何度も返し縫いをしたり、内側に補強材を入れたり、金具の取り付け方を工夫したりと、各メーカーさんが独自の技術で強度を高めています。
他にも、型崩れしやすいマチの部分や、擦り切れやすい角の部分など、見えないところにたくさんの「頑張れ!」という想いが込められているんですよ。
雨にも負けず、傷にも強い!素材へのこだわりと加工技術
革製のランドセルは、雨に弱いんじゃないか…と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
でも、最近のランドセルは、表面に防水加工や撥水加工が施されているものがほとんど。
多少の雨なら、サッと拭くだけで大丈夫なように工夫されています。
また、クラリーノなどの人工皮革は、もともと水に強い素材ですし、傷がつきにくいように表面が強化されているものも多いです。
こうした素材選びのこだわりや、最新の加工技術も、ランドセルが長く愛用されるための大切な秘密の一つなんですね。



「見えないこだわり」こそが、ランドセルの丈夫さの秘訣。6年間安心して使っていただくための工夫がたくさん詰まっています。
残念ながら工場見学は難しいけれど…動画などで職人の技に触れてみよう!


「こんなに手間暇かけて作られているなら、ぜひ工場を見学してみたい!」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
職人さんたちが真剣な眼差しでランドセル作りに向き合う姿は、きっと感動的だと思います。
なかなか見られない製造現場 どうしたら職人さんのスゴ技を見られる?
残念ながら、ランドセルの製造工房や工場は、衛生管理や安全管理、そして何よりも職人さんたちが集中して最高の仕事をするために、一般の方向けの見学を常時受け入れているところは、実はあまり多くないのが現状です。
私たち黒川鞄も、現在のところは工房見学は行っておりません。
でも、がっかりしないでください!
最近では、多くのランドセルメーカーが、自社のウェブサイトやYouTubeなどの動画サイトで、ランドセルの製造工程や職人さんの技を紹介する映像を公開しています。
そういった動画を探してみると、まるで工房の中にいるかのように、職人さんたちの手仕事の様子や、ランドセルが出来上がっていく過程を垣間見ることができますよ。
写真や文章だけでは伝わらない、細やかな手の動きや、真剣な表情に、きっと心を打たれるはずです。
職人の想いが詰まったランドセル 大切に使ってほしいから
一つひとつのランドセルには、それを手掛けた職人さんたちの「このランドセルを背負うお子さまが、6年間楽しく、そして安全に学校に通えますように」という、温かい想いが込められています。
その想いを知ると、ランドセルがただの「モノ」ではなく、もっともっと特別な存在に感じられてきませんか。
ぜひ、お子さまにも、ランドセルがたくさんの人の手と愛情によって作られていることを、少しでも伝えてあげてください。
そうすれば、きっともっとランドセルを大切に、そして誇らしい気持ちで使ってくれるはずです。



工房見学は難しいですが、私たちのウェブサイトやSNSでも、ランドセル作りの様子を少しずつお伝えしていきたいと思っています!
ランドセルの「作り方」のぞき見ツアー、いかがでしたでしょうか。
普段何気なく目にしているランドセルの裏側には、こんなにもたくさんの手間と、職人さんたちの知恵と愛情が詰まっているんだな、と少しでも感じていただけたら、私たちも本当に嬉しいです。
お子さまがこれから6年間を共にするランドセル。
その一つひとつに物語があると思うと、ランドセル選びも、そして毎日の通学も、もっともっと楽しく、そしてかけがえのない時間になるはずです。